恋の華が舞う季節
階段を思いっきり駆け下りる。

涙が止まらない。


私なんか泣く資格もないハズなのに。


自分が、ズルい。

あんな事言っておいて今更、何でこんなにも――胸が痛いの?


傷つける事しか結局また出来なかった。


溢れた愛を、また、掴む事が出来なかったよ。



何度も泣いて、枯れる程泣いたはずなのに、また涙が溢れる。



私は大切な人を傷つけることでしか、好きになれない。





――ドンッ



誰かとぶつかった。



「ごめんなさ……」


「……あ、こちらこそ……」



――葵?!



……そんなことあるわけない。



でも、似てる――


「大丈夫? 泣いてるけど……」


「――う……~~」


不覚にも、まだ出会って間もないのに、葵に似てる男の子の中に蹲って、泣いてしまった。

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