恋の華が舞う季節

朧月

“好き”


その気持ちが、秦からは真っ直ぐに伝わる。


でも……信じていいの?


一つの指輪を取り出す。


――『結衣ちゃん』


過去の思い出は


いつだって暗闇にいる。


今日は、朧月。


春の宵。


どうして……どうして私は進めないんだろう?


あの日から
止まったままの気持ち。


本気になるのが恐いの。


いつか、失ってしまうから。


私は……臆病だから。
いつまでたってもあの頃の幻影が残ってる。


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