恋の華が舞う季節
クスッと笑う。


「笑うなよ」


「ごめん~。
 だって、あまりにも従順すぎるから……」


「ったく……」



そう言いつつも何だか照れている樹は、可愛い。



「――あーも~! 
 笑うな! 俺だって、恥ずかしいもんは、恥ずかしいんだよ!!」


「何キレてんのよ~」


「お前が笑うからだろ?!」


「はいはい」



「俺は、いつだって頑張ってるんだからさ……!」


「何を?」


「お前が――結衣が俺をちゃんと見てくれるようになるまで」



「私は……」



――ガラッ


勢いよく、教室の扉が開いた。
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