恋の華が舞う季節
「俺、そういう僻み、イライラするんだけど。
 消えて?」


「な!」


逸らした目を今度は逸らさずに、蜜柑を見た。


真っ赤になりながら、樹を睨んでいる。



「ってか、お前結衣に妬いてるんだろ?
 だから見せびらかしかよ、最低な女だな」


蜜柑の前に今度は秦が出る。



「蜜柑は真剣に言ってるんだよ!
 お前にそんな事言われる筋合いは無い!」


「本当、可哀想。
 こんな女なんかにつかまってしまって。

 俺なら見た瞬間、切り捨てるな」



険悪なムード。


そんな中、蜜柑が涙を流し、秦を抱きしめる。



「もういいよ……。
 ごめん、私――私……後先考えずに、酷い事言った……」



――!!



私は――
その様子をブラウン管の中で起きているかのように、立ち尽くしていた。



「俺等もう、行く」



それだけ言い放って、出て行く。

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