恋の華が舞う季節
自分の気持ちを、きちんと言う。



「私、蜜柑にも、秦にも酷い事言って、傷つけた……。
 今更許してもらおう何て思ってない……」


「なら、どうしてそっとしておかないのよ?!」


「初めは! 
 初めは、2人の事そっとしておかなきゃって思って、なのに日が経つにつれて、苦しかった!

 苦しくて心が死んだようだった」


「は? 
 あんな男の子つかまえておきながら?
 矛盾しすぎ」



「樹には甘えてしまった……。
 優しくて心の中の辛さを埋めてくれた。
 でも、私は……」


「もう、聞き飽きたんだよ。
 そうやって悲劇のヒロイン気取りみたいな語り方は!!」



最初からこうなることが分かってた。



なのに。
期待してしまうのは、弱さだ。



「もう二度と話しかけないで」



そう言って蜜柑は、秦の腕を掴み、二人で帰ってく。



もう駄目だ……。

ダメだよ。

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