恋の華が舞う季節
私も背伸びをして、触れるか触れないかの、キスをする。


初めて自分からしたので、いっぱいいっぱいになって、腰が抜けた。



「ごめ……ん」


「いや、ありがとな」



こういう雰囲気にまだ、慣れていない私。


樹もさっきから、何だか落ち着きが無いように見えた。



お互い、いっぱいいっぱいだったけど――



繋いだ手を離そうとはしなかった。


離してしまったら、このまま消えてしまいそうな気がしたからだ。


「大丈夫か?」


「う……ん」



わたしはゆっくりと立つ。

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