恋の華が舞う季節
樹は何も聞こうとはしない。


私が何で泣いているのか何だか知っているみたいだった。



いつだって思い出せば秦は、私の生きる意味だった気がする。



「結衣……」



「樹……」


樹は繋いだ手を今度は力いっぱい握り締めて、離そうとはしない。


今の気持ちが伝わってしまう。


駄目。



「とりあえず行こうぜ」


「うん……」
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