恋の華が舞う季節
「私、帰るね?」


「おい! ここから帰るなんて、無理だろ?!」


「もういい」




次の駅につくと同時に、私は駅員に今までの運賃を払って駆け下りた。



初めて履いたミュールを脱ぎ捨てて、どこに向かうかも分からないのに、走る。



走って走って息をする間もないくらいに、がむしゃらに走った。



行き着く先も分からないのに。


初めて行った所なのに。




誰も、頼れる人なんていない。
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