恋の華が舞う季節
「そろそろ私、結衣迎えに行かないといけないから! じゃあ、行って来る。
 学校で……ね?」


踵を返し、秦に背を向け、私の家へと向かう道を走って蜜柑は行こうとしていた。


でも――


私がいることに、気付いてしまった。


咄嗟に隠れた木から身を乗り出してしまっていたから。

本当、馬鹿。

上手くやれる人は、ここでもきちんと対応できるのにね。


でも出来なかった。


「――結衣……」

「なっ……?!」

蜜柑のその言葉に反応するかのように、秦は焦ってこっちへと来た。




「わ……私、今日は早く目が覚めたんだ……。
 だから、この待ち合わせ場所に来てたの」


どうしよう。
言葉が震える。


「結衣! 誤解しないでね?! 私と秦は――」


「いいよ……。
 秦と蜜柑がそういう関係であったとしても、なくても……。
 別に、気にしてないから」

必死に平静を装う。
 
だけど内心では動揺していた。

心に過ぎる、不安感。


気にしてない、なんて嘘。


本当は凄く気になってしまう。
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