恋の華が舞う季節
「彼女の名前は、小野千紗都(おのちさと)。
 学年は2年1組。
 
 取りあえず、それだけ」

「え。
 てことは俺らの一つ年下かぁ~~」

 また項垂れる。

 それを見かねて、翼はため息をついていた。

 
 翼の言いたいことは、分かってる。

“早く告白しろ”てことだろ?

 でも俺にしてみれば、初恋で。

 簡単に言えるほど軽くなくて。

 
 どうすればいいのか、分かんねーよ。


「なぁ……、知ってるか?」

「何だよ。いきなり」

「小野千紗都って子、噂によると……結構モテるみたいだぜ」

「嘘だろ」

「嘘じゃねーよ。
 彼女、結構今時の流行りにのせられるタイプじゃなくて、純真そのもの。

 そういう子、結構モテるからな。
 本人は天然みたいだから……気がついてないみたいだけど」


 嘘だろ~~。

 じゃあ、俺以外にあの笑顔に奪われる奴がいるのかよ。
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