恋の華が舞う季節
 言い切った後、何か変な汗が滲み出てきた。

 今君の表情をゆっくりと見ることが出来ない。


「私……今、凄く嬉しいです。
 なんでだか分かります?」

「は?」

 嬉しいって……。

 嬉しいって……?


 それって……。

 
 一気に体温が上昇する。

 君は俺の表情の変化を楽しむかのように、笑っていた。

 
 チクショウ……。

 可愛い。


 ハメられた気もするけれど、何か今はまともに感情を制することが出来ない。


「陸先輩が、好きです。
 きっと、先輩が私の事を知る前からですよ」


「え?」

「陸先輩は、多分知らないと思いますけど……。 
 
 私、中学校説明会に来たとき……先輩のサッカーする姿に圧倒されたんです。

 楽しくボールを魔法使いみたいに操って、風を切って駆け抜けて……一気にゴールまでボールを運んで見事なシュートをしたんです。

 凄く楽しそうに笑ってて……。

 私、一目ぼれしたんですよね」



 
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