恋の華が舞う季節
「嘘だろ?」

「本当です。先輩、誰よりもカッコよくて……私、この人に近づきたいなって心から想ってました。

 だから今日は……もう、きっと寝れませんよ?

 嬉しすぎて。
 どう、責任とってくれるんですか?」

 またそこで笑顔を見える。

 何かここまでくると、ノリにのちゃえって感覚なんですけど。

 俺は君に近づいて、そっとキスをした。


 オレンジ色に染まる教室の中で、たった一瞬。

 それだけなんだけど、俺にとって見ればもう、堪えられない瞬間で。


 嬉しいって言葉とはまた違う、なんって表現すればいいのか分かんねーよ。



* * *


「お疲れ」

 翼は俺たちの姿を見ると、何かニヤリと微笑んでやがる。
 
 ま、でも今日は幸せだから……特別怒らないでやるよ。


「じゃ、俺は邪魔みたいだし……、未来が待ってるから」

「未来ってお前の姉貴?」

「そうだけど、そうじゃねーよ」

「はぁ?」

 また翼は楽しそうに校門を駆け抜けて、そのまま夕暮れの空と一緒に走っていった。
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