恋の華が舞う季節

記憶

幼い頃程純粋で、壊れやすいものは無い。


葵と出会ったのも、春だった。


その日は桜が満開で、相変わらず天気も快晴。



「――今日から、ここに越してきました。高橋葵(タカハシアオイ)です。
 お母さんは、仕事の都合上、来れませんが、これ、貰って下さい」


「まぁ~~……利口な子ね、結衣も見習いなさいよ」


関心ぎみのお母さんを横目に、私は漫画を読んでいた。


「…………」


第一印象は――
とにかく、ウザかった。


葵は完璧だったから。


引っ越して数日しか経っていないのに近所の人からも評判で、誰も悪い事を言う人なんていなかった。


まして母子家庭で育った葵は、家事全般も得意。


オマケに運動神経も、勉強も完璧だった。



そんな中、更に私をウザくさせたのは、女子からの、関係。

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