恋の華が舞う季節
「僕の……は……」


焦りながらもみんな中学への期待や不安を語り、時には笑いがでたり、時にはその人の言発言に聞き入ったりと様々だった。


私の順番もそろそろだ。


何を言えばいいのか、考えていた。


この自己紹介によって私はどの部類に入るか決まってしまう。


もちろん地元の中学校だから友達も居るけれど……。
やっぱり不安だ。


だから悪目立ちしないよう、一番安易な自己紹介を考えていた。


「桐山秦(キリヤマシン)です。
 最近ここに越してきたので、ここらの地理は分かんねぇけど、とにっかう山が沢山あると思いました」



ばっと隣を見た。
気づかないうちに彼は、私の隣の席に移動していた。

さっきまで彼が座っていた席は、今は違う人が座っていた。


え、え……?

頭が混乱する。

よりもって問題視されてるこいつがこんな所におられるのですか……?


「いでに、俺は、コイツが」


指を指される。


「好きだから」



ガタタタン……


椅子と一緒に転げ落ちる私。


それに対して満面の笑みで、


「宜しく。早瀬結衣(ハヤセユイ)さん」


そう、笑顔で言った。

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