恋の華が舞う季節
『結衣!!
 葵君がトラックに撥ねられたって!』


受話器越しに聞こえる蜜柑の言葉に体が震えた。

意味が分からない、嘘でしょう?


頭の中が真っ白。


『結衣、早く現場に行って!』



嘘。


嘘よ。



そんなこと……ある訳ないでしょう。

だってこの前まで葵は笑ってたもん。

いなくなるはずなんてないもん。





「い……嫌ー――――!」





あの日。


私は、現実を受け入れることが出来なくて、涙ばかりが溢れた。


どうして、葵が死ななくてはいけなかったの?


どうして葵なの?




私は、神様を恨み、そしてトラックを見るたびに、恐怖がこみ上げて、動けなくなる。


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