恋の華が舞う季節
――ドクン……

心臓の音が響く。


「アンタ、見たの……?」


声が震える。


「ああ。見た。
 そして、結衣の歌声が、気になって離れねぇよ。
 涙の理由も知りたい。

 教えてくれ!!」


さっきから、鼓動が早くなる。


これは……動揺だ。


これ以上、“ここにいたらいけない”そう思って、走る。


逃げるのは卑怯だ。


けれど知られたくない。
知って欲しく無い。



これ以上、見ず知らず人に触れられてしまったら、私は駄目になる。

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