恋の華が舞う季節
あれから、何分経っただろう。

私は最寄りの公園のブランコに座っていた。


もう気付けば夕焼けが、綺麗に赤く染まっている。


こんな時間を、黄昏(たそがれ)って言うって誰かが言っていた気がする。




『俺は、結衣が知りたい!!
 あの日の、涙の理由が、知りたいんだ!!』



無理だよ。


あんな見ず知らずの人に、涙の理由なんて話せっこない。


きっと、ただの興味本位なんでしょう?


私に近づいても、きっと何か得るものなんて、ないのに。


真っ直ぐな想いほど、辛い。


“触れないで”


そう思うたびに、胸が締め付けられそうになる。
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