恋の華が舞う季節
秦は、もう、あの公園へと待ち合わせ時刻よりも数分早く、来ていた。


やっぱり何だか、照れる。


恥ずかしい――


今までなんで普通だったんだろう。


こんなにも、直視できないなんて、意識してるのバレバレな気がする。


「乗れよ!」


「は?」


「後ろ、乗れ!」


「……蜜柑だって、まだ来てないし。勝手に行ったら……」


「蜜柑には、俺から言っといた。
 何か嬉しそうに、“頑張れ~”って言ってたぞ」



蜜柑~~!


学校行ったら、ただじゃ済まさないんだから!!


私は言われるがままに、秦の自転車の後ろに乗った。


「じゃ出発~」


勢いよく、漕ぎ始めた自転車は、春風を追い越して、さっき来た桜ロードを通った。


「ちょ! 道違うよ?!」


「ちょっと……寄りたい場所があるんだ」


「え?」



「しっかりつかまっとけよ!」


ギアをチェンジして、更に秦は加速する。


もう、風がきつく感じれるくらいだ。



「ちょ!」
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