Secret door...
転校
─ジリリリリリリ…
けたたましい目覚ましの音。
カーテンの隙間から漏れる光。
清々しい朝。
AM9時。
「稚那ちゃーん!!ご飯よー!!」
一階からママが私を呼ぶ声が聞こえる。
高校1年生の、8月。
夏の暑さは嫌いじゃない。
眠い目を擦りながら
朝食を食べに一階に行くと
何故だかママが悲しい顔をしていた。
「…ねえ、稚那ちゃんに話があるの。」
そのお母さんの一言から始まった私の朝。
「前から話そうと思ってたんだけど…
実はパパの仕事の都合でね、」
あー…
これはあれだ。
「近くにだけど、引っ越すことになったの。」
そう、それ。
転校するって事だよね。
「だから新しい学校に行く事になるんだけど…
急に決めてしまってごめんないね。」
別に転校するのに関しては正直どうでもいい。
でもなんで人が夏休み課題
終わらせようとしてる側からそれ言うかな。
する意味なかったじゃん!!
と心の中で嘆く。
「いいよ。別に転校とか
全然大丈夫。で?いついくの?」
どーせ今の学校で友達なんていないし…
あ、いじめられてるわけじゃないよ?
家族にはそんなこと言ってないけどね。
「あ、あさっての予定だけど…」
私の言葉にママは驚いた顔をした。
「だから、今日と明日までに
荷造り終わらせといて?」
「はーい。」
転校か…
どんな学校なのかな。