猫言葉
『大変長らくお世話になりました』



私は吃驚しました。
ふぁっと間抜けな声が、喉の奥から出ました。



『ワタクシは大変幸せな猫でございました』



小梅さんは額を座布団に擦り付けんばかりに深々とお辞儀をしました。


私はその小梅さんの猫背の美しさに目を奪われました。



猫の猫背の曲線は、つい手を伸ばしたくなる美しいラインです。


しかし小梅さんの言葉に吃驚したままの私は、その美しい猫背に触れることはありませんでした。
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