猫言葉
小梅さんは猫です。


私が幼稚園の頃から、いつの間にか我が家に居着いた、元野良猫です。



山鳩のような毛色に、備長炭のような模様、長くすらりと伸びた尻尾をもつメス猫が、当時愛くるしい幼子だった私の後をミャーミャーと鳴きながら付いてくる様を、今でも鮮明に思い出すことができます。



あれから十七年。
小梅さんは至って普通に成長し、元野良猫の片鱗さえ窺えない立派な雑種猫になりました。



ふくふくと肥えたお腹。
すらりと伸びた尻尾は別の生き物のようにふわりと揺れています。



『今まで、本当にお世話になりました。感謝の言葉もございません』



そして、人間であったら三つ指をついた姿勢で、私に挨拶をしているのです。





 
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