世界に1つだけの幸せを。
出逢い
―――ピピピピピピ……
「ほら陽、早く起きなさーい!」
うるせえ。
目覚ましの音と、ドアの向こうで俺を呼ぶ、母さんの声。
二部合唱かっての。
「ちょっと陽!遅刻す……」
「起きてっから、でけえ声出すなよ」
起きてるなら返事しろだの、ぶつぶつ文句を言いながら階段を降りる音がする。
はぁ、とため息をつき、まだ重い体を起こしベッドから下りた。
「ねみ…」
独り言を言いながら、真新しい制服に袖を通し、鏡の前に立つ。
案外、似合うんじゃねえの?