世界に1つだけの幸せを。
「おい弘樹、いつまで喋ってんだ。電車来たぞ」

「うお!まじ!?やっべー」


どんだけ夢中で喋ってたんだよ。

ぞろぞろと電車に乗り込む群れと一緒に、俺たちも乗り込むと、まだ時間が早いせいで、いくつか席は空いていた。


が、なぜか座る気にならなかった俺は、弘樹を道連れにドアの近くに立っていた。




ゆっくりと走り出す電車に揺られて、ぼーっと窓の外を見ていると、段々と"高校生"という立場に実感を覚えてくる。


「俺らさ、クラス離れんのかな?」

ふいに話しかけたせいで、弘樹がびっくりしてこっちを見た。


「さあなー。ん?なに?もしかして陽、さみしーのかー?」


どうしてそうなるんだよ。


「なわけねーだろハゲ。」

「え、なに、ひど!」

「勝手に言っとけ」



これは俺たちにとっては日常で、小さい時から腐れ縁で一緒に過ごして来た弘樹には、思ったことをなんでも言えた。


それが、なんか楽で、居心地がよかったんだ。



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