トビラの向こう側
汐里の日常
「おいで」
私は素直に彼の腕の中におさまった。
彼は額に瞼に頬に唇をおとす
最後に唇に彼の唇が重なる
私は深いキスに酔いしれていく……。
これは夢。
でも……私の記憶。
目の前の貴方が少しずつ霞んで
もうじき夢から覚める
「待ってまだ行かないで」
彼に手を伸ばす。
彼は切なそうに微笑むと消えてしまった。
< 1 / 139 >