トビラの向こう側
会社の事情で2週間の出張になった。
葵を残して行くのは心配だけど、どうしても俺が行かなければならなかった。
『駿は2週間私といなくても平気なんだよね』
泣きそうな顔をして聞いてくる。
『何をふくれてる』
『別に…』
『寂しいのか?』
『……』
葵は無言のまま目を伏せた。
俺の出張が決まってから寂しそうにしている。
そんなお前が、いじらしくて…。
俺だって2週間もお前が隣にいないなんて―…。
『2週間なんて直ぐに過ぎるさ』
なだめるように言うと…
『うん』
小さな声で返事が返ってきた。
ギュッと体を抱きしめてやると葵の手が背中にまわってきた。
お互いの体温を感じながらしばらく、そのままでいた。