トビラの向こう側



その後は、なかなか怒りが治まらず葵にずっと冷たくしてしまった。



シャワーを浴びて、頭を冷やした。



寝室に入っていくと葵は顔に涙の跡を残しながら眠ってしまっていた。



泣かせてしまったな。



翌朝


約束していた水族館に行くため支度をして葵と駐車場にまで降りて行く。



車に乗ろうとした時。


『高遠さん、やっと会えましたね』


またか、そう思って振り返ると社長令嬢が立っていた。



会社を辞めたのにまだ、しつこくマンションにまで来て、いったいどういう了見だ。



『ちょっと待ってろ』


そう葵に言ってから社長令嬢の所まで行った。



『何度も言いましたよね貴女との婚約はなかった―……』


一礼して葵の所に戻ろうとしたら、追いかけて来た。



本当にしつこい女だ!


< 116 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop