トビラの向こう側
『…婚約者ってどういう事?
貴女なんで、ここにいるの?
消えてってお願いしたわよね。
私と高遠さんの邪魔しないでって―…』
消えて?
邪魔?
俺が考えている間にこの女は葵に掴みかかってきた。
慌てて、割って入って葵から引き放した。
葵の様子が変だ。
この間気を失った時のように頭痛を訴えている。
『葵、大丈夫か?』
葵また気を失ってしまった。
『なぁ?あんた、もしかして、こいつに何か言ったりしたのか?
俺の前から消えろとか?』
社長令嬢を問いつめた。
『私達の邪魔をしないでってお願いしただけよ』
そう言う事か。
頭の中のパズルに最後のピースがはまったように失踪の原因がはっきりした。