トビラの向こう側
上の様子はどうなってるのかな…?
しばらく階段の下で物音を立てないように、していたけど店長と駿の様子が気になる。
「汐里ちゃん」
店長に手招きされた。
行っちゃったのかな。
ほっとしたのと同時に胸もズキッと痛んだ。
自分から逃げたくせに…今になって後悔したって遅いよ。
階段を上がった。
「高遠さんは、もう行きましたか?」
「うん、いないって言ったら帰ったよ」
「バタバタしてしまってごめんなさい」
「時間がないんだったね?
ここを辞めるっていうのは考え直せないかな?」
「店長それはできません」
「仕方ないね、でも汐里ちゃんの気が変わったら戻って来てほしいな。
しばらくは休職扱いにしておくから」