トビラの向こう側
「今更、隠そうとしたって遅い。
そうだろう?葵」
分かっちゃったんならこれ以上、隠す必要はないよね。
「そうだよ。
葵の時の記憶全部、戻ったの」
考え込むような仕草で私を見た。
「そういう事か。
だから逃げたのか」
「だったら尚更だ。俺に説明する事があるはずだよな…
乗れ!」
「嫌だっっ!
絶対に乗らない。
話しならここですればいいじゃない」
「ふぅ~ん、記憶が戻った途端にそれ?黙って二度もいなくなった事、謝ろうとは思わないんだ」
「それは、駿には酷い事したって思ってるよ」
「だったら、乗れ!」