トビラの向こう側


駿が行ってしまって誰もいない店内に私はまだいた。


自業自得だよね。


ずっと逃げてて…やっぱり戻りたいなんて…今さらだよね。


気づくのが遅かったんだね。


店長のいる二階に上がって行った。



「汐里ちゃん大丈夫かい」



「大丈夫です。
いろいろとすみませんでした」


「高遠くんと汐里ちゃんがどんな事になっても、君はアンブレラの従業員だからいつでも戻って来ていいからね」



「ありがとうございます」



私は一礼して玄関を出た。


階段を途中まで降りたら我慢していた涙が溢れてきて…



涙をとめようと上を向いた。


けれど…とまらなくて…。


駄目だ…全然とまらないよ。



なんとか降りきった所で歩けなくなり、その場に座り込む。

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