トビラの向こう側


「この間は、いい過ぎた」


「俺が悪かった」


「………?」



私は最初、高遠さんが謝ってくれてるなんて、わからなくて……。



「おい! 聞いてるか?」


「…ええと…今、高遠さんは私に悪かったって言いましたか?」


「あぁ、言った」


「謝ってもらえるなんて以外です」


「お前ねぇ、俺は鬼じゃないんだよ、悪いと思ったら謝る事ぐらいできるんだよ」



今までとは少し違う高遠さん。



「本当に悪かった、あの時はイラついてて――…」


イラついててって、機嫌、悪かったら私また八つ当たりされるんじゃ……。



「しねぇよ」


「え?」


「もう、あんな事は言わねぇ、だから」


だから?


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