トビラの向こう側

私は厨房に入って行った。


さっきまでいた店長がいない。


「あれ?店長は?」

「何か大事な電話があって上の部屋に行ってる」


「智也さん何を手伝えば、いいですか?」


「これ混ぜて」


私は言われた通りお鍋の中のソースを混ぜ始めた。



「汐里ちゃん今度、父さんの病院に行くのは、いつだっけ?」


「えーと、来週の水曜日です」


「あ、それはもう終わりにして、いいよ」


「はい、次は何を」

「サラダに使うレタス洗ってくれる」


「はい」



「汐里ちゃん…俺…相談っていうかちょっと話したい事があるんだけど」


「水曜日、診察が終わったら、ここに来る時間ずらせないかな」


「いいですけど」


「俺、水曜日は夜、出勤だから時間を教えてくれれば、病院に行くから」


私は智也さんに診察時間を教えて、終わる頃の時間で待ち合わせをした。


< 34 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop