トビラの向こう側
私は厨房に入って行った。
さっきまでいた店長がいない。
「あれ?店長は?」
「何か大事な電話があって上の部屋に行ってる」
「智也さん何を手伝えば、いいですか?」
「これ混ぜて」
私は言われた通りお鍋の中のソースを混ぜ始めた。
「汐里ちゃん今度、父さんの病院に行くのは、いつだっけ?」
「えーと、来週の水曜日です」
「あ、それはもう終わりにして、いいよ」
「はい、次は何を」
「サラダに使うレタス洗ってくれる」
「はい」
「汐里ちゃん…俺…相談っていうかちょっと話したい事があるんだけど」
「水曜日、診察が終わったら、ここに来る時間ずらせないかな」
「いいですけど」
「俺、水曜日は夜、出勤だから時間を教えてくれれば、病院に行くから」
私は智也さんに診察時間を教えて、終わる頃の時間で待ち合わせをした。