トビラの向こう側
「智也さん私に聞きたい事があるんですよね?」
「……汐里ちゃん、ごめん実はお願いがあって…嫌だったら断ってもらって、構わないから」
「どうしたんですか?」
智也さんはしばらくためらってから話を始めた。
「汐里ちゃん1日だけ彼女のふりを、してくれないかな?」
「智也さんの彼女のふりをって事ですよね?」
「やっぱり、止めよう。
こんな事、汐里ちゃんに頼むなんて、どうかしてた忘れて」
「待って下さい。
少し考えさせて下さい」
「汐里ちゃん?」
「理由があるんですよね。
教えてもらえますか?」
「そうだよな、理由も言わずに頼むなんて突然すぎたよな」
「この間、友達から連絡があって――……」