トビラの向こう側
戻った記憶


私は高遠さんと、つきあい始めたんだから。


やっぱり智也さんには、この事話さないと、それで傷つけてしまった事を謝って―…。


智也さんに、はっきり断って、誤解を招くような事は避けないと―…。


4時になり美月ちゃんが来た。


客足が減って手が空きだしたのを見計らって…
美月ちゃんに高遠さんとの事を報告した。
つい話しの流れで、智也さんの事も話してしまった。


「えー!二人つき合っているんですか?」


美月ちゃんは驚いたみたいだ。


「展開が早すぎじゃないですか、でも…良かった汐里さん幸せそうで」


「ありがとう。
あのね……実はお願いがあって…」


「どうしたんですか?」


私は厨房にいるはずの高遠さんを気にしつつ声を低めた。


「さっきはつい言っちゃったけど。
智也さんの事は高遠さんには言ってないから―…」


「わかりました。
聞かなかった事にしますね」


< 81 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop