トビラの向こう側
戻った記憶
私は高遠さんと、つきあい始めたんだから。
やっぱり智也さんには、この事話さないと、それで傷つけてしまった事を謝って―…。
智也さんに、はっきり断って、誤解を招くような事は避けないと―…。
4時になり美月ちゃんが来た。
客足が減って手が空きだしたのを見計らって…
美月ちゃんに高遠さんとの事を報告した。
つい話しの流れで、智也さんの事も話してしまった。
「えー!二人つき合っているんですか?」
美月ちゃんは驚いたみたいだ。
「展開が早すぎじゃないですか、でも…良かった汐里さん幸せそうで」
「ありがとう。
あのね……実はお願いがあって…」
「どうしたんですか?」
私は厨房にいるはずの高遠さんを気にしつつ声を低めた。
「さっきはつい言っちゃったけど。
智也さんの事は高遠さんには言ってないから―…」
「わかりました。
聞かなかった事にしますね」