トビラの向こう側
「そうだな明日一緒に出掛けようか。
1日だけ俺の彼女になってくれたら諦めてもいいよ」
明日は初めての高遠さんとのお出かけで…
今日だって嘘吐いちゃったのが心苦しくて…
これ以上、嘘吐くのは嫌だ。
「明日は用事があって…」
「ふぅ~ん、そうかだったら今ここでキスしてよ…ここじゃなくて、こっちに」
唇を指さして嘲るように私を見た智也さんはいつもの彼ではなく…
恐い…。
「む…り…です」
「無理なんだ…俺からしちゃおうかな」
智也さんは慌てて、後退りした私の腕を掴んだ。
「放してくだ…さい」
恐くて声が震えてしまう。
めちゃくちゃに腕を振り回して彼の腕を外そうとしたけど、もう一方の腕も掴まれてしまった。
智也さんの顔が近づいてきて…。
「嫌だ…止めてよ……高遠さん…」
無意識に高遠さんを呼んでいた。