トビラの向こう側


「そうだな明日一緒に出掛けようか。
1日だけ俺の彼女になってくれたら諦めてもいいよ」


明日は初めての高遠さんとのお出かけで…

今日だって嘘吐いちゃったのが心苦しくて…

これ以上、嘘吐くのは嫌だ。


「明日は用事があって…」


「ふぅ~ん、そうかだったら今ここでキスしてよ…ここじゃなくて、こっちに」

唇を指さして嘲るように私を見た智也さんはいつもの彼ではなく…


恐い…。


「む…り…です」


「無理なんだ…俺からしちゃおうかな」

智也さんは慌てて、後退りした私の腕を掴んだ。


「放してくだ…さい」


恐くて声が震えてしまう。


めちゃくちゃに腕を振り回して彼の腕を外そうとしたけど、もう一方の腕も掴まれてしまった。



智也さんの顔が近づいてきて…。


「嫌だ…止めてよ……高遠さん…」


無意識に高遠さんを呼んでいた。
< 84 / 139 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop