ごめんね、好きで。
これは恋でした。

偽りと君

「おはよう。」
今日もその一言で君との一日が始まる。
邪魔するものなんて気にしない、私と君だけの世界。
「おはよう、今日はくるの少し遅かったのね。寝坊?」
君は少し教室に入るのがいつもより遅かった、ただそれだけでもいつもより君を見る時間が少なくなってしまった、 だなんて。

「いや、ちょっと呼び出されて」
あぁ、また告白か。
「アキラはモテるからね。」
私とアキラは中学に入って席が隣だった。
周りから「性格が悪い。」だなんて言われている私には新しい学校でなかなか友達もできなくて、小学校からの友人も新しい友達を作り、私の入る隙間などなく、ただ、ずっと一人でいる。といった毎日が続いていた。
そんな毎日に休止符を打ったのがこの男、白石アキラだ。

最初は鬱陶しいくらい話しかけてきて、私もイライラが限界になり「鬱陶しいな!私に構わないでよ!なんで、構うの!?」だなんて大声で言ってしまった。
そこからだ、私の恋が始まったのは。
アキラが「だって、寂しそうだったから、今も泣いてるしね。」だなんていって私にハンカチを貸したりしたから、こんな恋が始まってしまったのだ。

「日向?」
そうやってアキラが私を呼ぶ声に気がついて、「ごめん、考え事してた。」って言う。

アキラはモテるからアキラの事が好きな子達に「笹野さんって、アキラ君とどう言う関係なんですか?」なんて何回も聞かれた事がある。
どうもこうも、友達だ。
向こうはそう思っているのだろう。
私にとったら恋愛対象であり、好きな人だ。

自分で言うのもなんだが、私はそこらへんの女子よりも顔立ちはいい方だと思う。

今日だってほら、

「笹野さん、俺と付き合ってもらえないかな?」
ね?面倒だ。

「ごめんなさい…、貴方の事まだ何も知らないし…。」

私は丁重にお断りする。

本当は「嫌よ、あなたと付き合ったとしても、私にメリットはないもの。」と言ってやりたいものだが、そうはいかない。これ以上評判を悪くするわけにはいかない。

それに、断ったら相手は必ず無理やり押し倒して来たり、抱きしめてきたり。

そしたら絶対に、

「日向!大丈夫か!?」

貴方が私だけのために来てくれるから。

ほら、今日も自分を偽るの。
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