冷たい彼

「泣くな、沙彩…何で泣いてんだよ」
「ふぇ…ゴメ、ン…な…さいぃ。
…今すぐ、泣きやみ…ま、すから…ヒック…怒ら、な…いで…くださいぃ…」

怖い、怖い…。
極悪非道ブルートの総長なんだからいつ殴られてもおかしくない。

「ったく、めんどくせぇやつ」

 ズキッ!

と胸が痛んだ。
じゃあ…側に置かなきゃいいのに…
彼女にしなかったらいいのに。
キス…しなきゃいいのに。

「泣くなよ、怖がらせて悪かった。だから泣くんじゃねぇよ、ウゼぇ」

「ウザいなら、側に置かなきゃいいじゃないですか!なんで私なんですか…」

あっ…また口に出しちゃった。



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