冷たい彼

 バタンッ!! 

「キャァ!」

いきなり開いたドアに押されてよろめいた。
中からは自分を“沙樹”と呼んでいた女の子が出てきた。

「あなたも麻尋くんの彼女!?…沙樹の方が可愛いもん!!!」
と意味不明なことを言って去った行った。

「…は、蜂谷さん?」
「あ~、聞いちゃった?ゴメンね、見苦しいとこ見せちゃったかな」

とさっきの低い冷血な声とは血がいつもの明るい声。
蜂谷さんがよくわからなくなった。

「いえ…大丈夫で、す…、あの今の女の子よかったんですか?」
「いーのいーの、どうでもいい」

ほら、また冷めた顔をする。
蜂谷さんじゃない蜂谷さんを見ているような感覚。

「あ、そう言えば沙彩ちゃんに聞きたいことがあるんだった☆!」

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