冷たい彼
嘘、これは夢よ。
だって、あの麻尋よ?たくさんの女の子に囲まれてそれでデレデレして…。
「嘘なんていらないわよ、バカ」
多少、涙声…情けなさすぎよ、私。
「嘘なんてつけねぇよ、目の前に好きな女がいるってのに」
「嘘」
「嘘じゃねぇ」
「嘘っ!」
「嘘じゃねぇ!」
こんなに声を荒げる麻尋を、私はいつぶりに見たかしら?
いつもヘラヘラニコニコの麻尋しか最近見てなかった。
「信じたって言っても…『冗談に決まってんだろ、本気にすんなよ』って笑わない…?」
「だれが笑うかよ」
ここにいるのは誰?
綺麗な髪が風に靡き大人っぽい雰囲気…整った顔立ちにいつの間にかこんなにもの伸びた背。
「ま、ひろ…」
「綺沙樹、俺と…付き合ってください。全部、おまえの好きなやつも忘れさせるら」