冷たい彼
『沙彩、久しぶりね』
『あ、キョー姉ちゃん!』
『紹介するわ…私の彼氏、浅川皇雅』
『……えっ?ゴメン、よく聞こえなかった…もう1回、言って…くれないかな?』
『もう、沙彩らしいわね。浅川皇雅、私の彼氏なの』
そうキョー姉ちゃんが言ったときどこからか現れたのは皇雅さんだった。
『杏子…』
“きょうこ”
『きょ…うこ…さん?』
『あら、言ってなかったかしら。私の名前は杏子よ』
その時夢の中の私はうずくまってこう考えてた…私とキョー姉ちゃんは双子でキョー姉ちゃんは杏子さん…。
『私の…双子のお姉ちゃん…。そして、皇雅さんの本当の好きな人…』
『沙彩?』
そして私は逃げたんだ…。
「嫌な夢…」
私の独り言はバイクの爆音の中に消えた。
この後…もっと嫌なことが起こるとも知らずに…私と深雨さんは街に向かった。