冷たい彼
「いいこと、だと?」
「えぇ。私が浅川の教室に行く前、沙彩は必ずトイレで鏡をチェックするの。それから…あんたがさっき女と話してた時沙彩は哀しそうにそれを見てた。それだけよ」
それだけって…俺にはけっこう重大なことなんだが。
「でも、いいニュースだけ言いに来たんじゃないわ。沙彩、今日春真とデートだから。早くしないと盗られちゃうわよ?意気地なし」
…俺がこんな口を利かれてイラつかないわけねぇが沙彩のダチで麻尋の女だから手を出すわけにはいかねぇ。
「俺にこんな口きいて、殴られねぇのおまえぐらいだ」