冷たい彼
皇雅side
もう、迷わねぇ。
麻尋の女の言葉を聞いて、行動するしかなかった。
今日、もう春真が沙彩に告白してるだろうが…付き合っていようが、関係ねぇ。
「行くか…」
沙彩のヘルメットを積んで出発した。
「春真…」
そんな声が聞こえた。
っ…。
見たくなかった、春真と沙彩が抱きしめあってるところなんて。
あっち側からこらはこっちは見えない。
やっぱり…か。
あいつは…敵だけど、強くてイイヤツだと思う。
春真は沙彩に一言二言言ってバイクで夜道に消えていった。
今しかねぇ、今しか…。
「沙彩」
ほっそりとした背中に藍色の髪が滝のように垂れている。
その後ろ姿は振り返ってくれない。