冷たい彼

「沙彩」

もう1度、その名を呼ぶ。

「…こ、う…がさん…?」

沙彩は前を向いたまま喋る、何か…むかつく。

「確認したいならこっち向けよ」

何て挑発的なことを言っても内心は落ち着いて何かいなくて…。
余裕ぶってるだけ。

「…う、そ…っ何で?」

俺を見た瞬間こいつは泣き出した、また…泣かせた、なんて思いながら一歩近づいて藍色の髪を一掬いした。

「…俺は、自分が幸せじゃねぇと気がすまねぇんだよ。だから…おまえが春真と付き合おうが、蓮と付き合おうが関係ねぇ。だから伝えに来た」

小さな沙彩を見下ろし、髪をクルクルと弄びながら言った。
その瞳に映ってるのは…恐怖か、恨みしかないんだろけど…そんなの気にしていられるほど余裕なんかねぇんだよ。

「な、にを…」
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