冷たい彼
「一回も、言ったこと無かったけどよ…俺は、沙彩が好きだ」
こんなにも、簡単なことだったのに…何を俺は躊躇ってたんだよ。
もっと前に伝えてたら…こいつをあんなにも泣かせることはなかったのか?
「え…?意味、わかんなっ…」
「そんままの意味」
驚くほど簡単だった、さあやの涙を拭うことに比べれば、あんな辛い思いをすることにい比べれば、『好き』ただその一言を伝えるだけなのに…俺はバカか。
「う、そ…だって、あんなにひどいことっ…」
「俺がお前にしたことに比べれば…何ともねぇだろ」
声が聞きたくて、藍色の髪に触れたくて、ピンクのほほにキスを落としたくなって…笑顔が見たくて、沙彩のすべてが愛しかった。
「俺は…お前の幸せを、願うことなんかできねぇよ。お前を幸せにするのは俺、それ以外許さねぇ」
「こ、うが…さん」