冷たい彼

「っ…！！」

「……だから…もう一度、戻ってきて…くんねぇか？」

沙彩は、大粒の涙を流しながら俺に抱きついた。

「お、わっ…」

「…ずっとね、待ってたよ。皇雅さんが好きって言ってくれるの、待ってたの…」

「…あぁ」

「でもね、キョー姉ちゃんこと知って…混乱しちゃって、もうダメだなって…思った」

あぁ、やっぱり鈴華さんの言うとおりだ…あのままじゃ俺等は…確実にダメになってた。

「だから、別れようって言った。好きだったけど…別れたくなんてなかったけど…私は、皇雅さんに幸せになってほしかったから…っ」

いつだって沙彩は、人想いだ。

「…皇雅さん、好き…だよぉっ…」

長かった、俺等がここまでくるのには、かなりかかった。
でも…長かったからこそ、こんなに愛しく思えるのかもな。

「…本気じゃないなら取り消せ、取り消すのは今しかねぇ」

また、俺はこの言葉を言った。
確か、これで２度目だ…一回目も、沙彩に好きといわれたときだったな…。


「取り消しません、私…本当に皇雅さんが好きです…」