冷たい彼

「…俺には、何もねぇ。春真のような優しさも、蓮のような冷静さも。…それでも、俺を選ぶか?」

「何度も言わせないでくださいよ!私は皇雅さんが好き、これは変わりません」

沙彩はピンクのほほを赤くして言った。

「後悔した、何て言うなよ!」

「キャッ!」

俺は沙彩をバイクの後ろに乗せた。
沙彩専用に買ったヘルメットをかぶせてエンジンをかける。

「こ、皇雅さん!どこ行くんですか!?もう8時…」

沙彩の声はバイクのマフラー音に消えた。



「ついた」

「…ここ、どこですか?」

「俺ん家」

「こ、皇雅さんのおうち!?」

「ただいま」

「おかえり、皇雅」

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