冷たい彼

い、いい今のも俺じゃねぇ!
またさっきのように後ろを振り返るとやっぱり皇耶がニコニコしながら俺のベッドに座っていた。

「来ちゃった♪」

……皇耶ぁあ!!!

「来ちゃった♪…じゃねぇよ!何でいんだよ、しかもなんだよさっきの!」

「んーっとね、皇紀の心をそのまま読んだんだよ?」

人差し指を顎に当て色っぽく首を傾げながらにこやかに言い放つ。
皇耶は胡散臭く笑ってるけど腹黒いから嫌だ。

「違げぇだろっ、お、俺は…沙彩を好きになら…ねぇし!」

「絶対?」

急に真顔になって言う皇耶に俺は黙り込んでしまった。

「ま、いいんじゃない?略奪ってのもさ。んじゃ、オヤスミー」

最後はまたいつもの胡散臭い笑顔を振りまきながら皇耶は部屋に戻った。

結局、この日はウォークマンを聴きながら寝た俺だった。


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