【完】二段ベッド
 勉強?家事?僕が困ったのは、そんなことではない。


 すぐに泣く。やたら拗ねる。おっちょこちょいでしょっちゅう怪我をするし、無駄に人の心配をして、自分に関係のないことで落ち込む。


 揉め事が嫌いなくせに、放っておけずに後先考えず首を突っ込んでは、僕に相談する。してこなくても、表情を見れば一発というものだ。


 沈んでいる時でも、菓子一つですぐに機嫌が戻る。一体彼女は、いくつの菓子が自分の犠牲になったと思っているのか。



「双子とは言えど私お姉ちゃんなのに、いっつも足引っ張ってばかりで。何度お母さんに叱られたか、分かんないよね」



 ……鼻声だ。分かりやすすぎる。


 しゃくりは止まったものの、明日目が腫れたらどうするつもりなのだろうか。


 晴れ姿に真っ赤な目は、不似合すぎる。



「私ももっともっと、色んなことできるようになっておけばよかったな」



 そればかりは全くだ。頼むからもう、トースターだけは爆破しないでくれ。


 後から考えれば笑い話なのだが、これからまた同じ出来事があるのかも知れないと思うと、話は別だ。


 はぁ、と溜息をつくと、彼女は言葉を止めた



 そして。



「……あれ?起きてる?」


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