【完】二段ベッド
僕は答えない。寝息程度の呼吸音を自然に響かせるように、気を付けて動かない。
静かな時間が流れる。静かなだけでなく、穏やかだ。
「……まぁいいや。何話そうと思ってたか忘れちゃったけど、本当…ありがとう」
振り出しに戻るのか…溜息とともに、今度こそ寝ようと、体勢を整えようと動く。
その時、ベッドが音を立てて軋んだ。
「やっぱり」
はっと気づいたように、下の彼女は、僕に言った。
「起きてるんでしょ?ねぇ、返事して?」
震えた声でそう請う彼女に、僕は出方を考える。
そうして何も言えずにいると、部屋は嗚咽と鼻をすする音で満ちた。
………本当に、手のかかる姉で。
赤の他人と暮らすなんて、できるのか心底心配になる。
そう言えばきっとまた拗ねて、何かあげればまた機嫌を戻して。
純粋で、単純で。
静かな時間が流れる。静かなだけでなく、穏やかだ。
「……まぁいいや。何話そうと思ってたか忘れちゃったけど、本当…ありがとう」
振り出しに戻るのか…溜息とともに、今度こそ寝ようと、体勢を整えようと動く。
その時、ベッドが音を立てて軋んだ。
「やっぱり」
はっと気づいたように、下の彼女は、僕に言った。
「起きてるんでしょ?ねぇ、返事して?」
震えた声でそう請う彼女に、僕は出方を考える。
そうして何も言えずにいると、部屋は嗚咽と鼻をすする音で満ちた。
………本当に、手のかかる姉で。
赤の他人と暮らすなんて、できるのか心底心配になる。
そう言えばきっとまた拗ねて、何かあげればまた機嫌を戻して。
純粋で、単純で。