若頭の秘密のレンアイ
その言葉の意図が全く分からない私はもう一度山口 直樹の方を向く。
すると、山口 直樹はよいしょ、と立ち上がるところだった。
「な、なに?」
私は少し不安になったため、小さく呟きながら警戒心を強める。
ゆっくりとした歩みで私との距離を詰める山口 直樹。
私はその場で座ったまま固まる。
そして、私の前まで来た山口 直樹は私の顔を見ながらしゃがむ。
「え…なんな、のよ……」
心臓、うるさい。
少し休んで……
「お前がそんかに恋がしてぇって言うんなら」
心臓の音に山口 直樹の声が
かき消されそうだ。
「俺に恋をしろ。綾乃」
「っ!」
あぁ、この男は
どうしてそこまでして
この家が欲しいのだろう。